Chorus

コーラスハルミオン

「東日本大震災を支援するチャリティーコンサート」レポート

(堀江熙 記)

東日本大震災を支援するチャリティーコンサート「高橋晴美の愛と癒しの世界~コーラスハルミオンと巡り合えた方々と共に~」が、2011年5月14日(土)、東京・杉並公会堂大ホールで開催されました。創立11周年を迎えたハルミオンが初めて自ら主催するコンサートでした。

この日、杉並公会堂の大ホール(約1,200人収容)は、≪高橋晴美の世界≫を堪能しようと詰めかけたお客様で埋め尽くされました。客席数分のチケットは5日前までに売り切れたのですが、立ち見でも良いからチケットが欲しいと訴えるお客様が多かったため、急きょ、合唱団の演奏席として確保していた3階のP席も客席として開放せざるを得ませんでした。常設の舞台だけでは、250人を超す出演者をのせ切れないため、ボランティアスタッフさんの協力を得て、舞台を客席前部に張り出して増設しましたが、それでも合唱団員が舞台上でひしめき合って歌うことになり、担当者は開演の直前まで、この〝嬉しい誤算〟の対応に大わらわでした。

【第一部】のステージは、「コーラスハルミオン」「女声コーラスハルミング」の合唱と、遠藤いつ子さん杉浦真理さんのボーカルでプログラムが組まれました。この日、ハルミオンには、遠藤いつ子さん(ハルミオン団員)が指導している静岡県の女声合唱団「コーラス虹の音」(以下、「虹の音」)のメンバーが加わり、おそろいのグリーンのTシャツ姿で、『窓をあけてみたら』『君のいない海』の二曲を全身でリズムを取りながら軽やかに歌い上げました。「虹の音」は、晴美先生が定期的に出張指導されている合唱団だけあって、ハルミオンとの呼吸もピッタリでした。伴奏は、「高橋晴美カルテット(ピアノ・高橋晴美、ベース・芹澤薫樹、サックス・大和田雅洋)」+「ゲストミュージシャン(ハーモニカ・続木力、パンフルート・大束晋、ギター・町田文喜)」の皆さんが務めて下さいました。

【写真・左】おそろいのTシャツ姿で虹の音のメンバーと共演するコーラスハルミオン。

【写真・右】「Jewelry Time」を熱唱する女声コーラスハルミングの皆さん。

【第二部】のステージは、ハルミオンが地方で公演した際に巡り会えた合唱団とハルミオンとの共演を軸にしたプログラムが組まれました。伴奏は、第一部で伴奏を担当して下さった皆さんに、「高橋晴美記念オーケストラ」が加わり、合唱団の演奏を強力にバックアップして下さいました。

ハルミオンは、このステージでは第一部で着用したグリーンのTシャツから黒のコンサート用制服に着替え、気分を一新して『Into the Light』を「合唱団アンフィニ(東京)」、『星降る夜に』を「コーラス晴(沖縄)」+「コーラス庄内(山形)」、『ありがとう』を「混声合唱団モルゲンローテ(富士)」、『八幡小学校校歌~今、思い出を輝きに変えて』を「虹の音」+「コーラス庄内」、『今日-虹を渡る日』を「虹の音」+「合唱団アンフィニ」とそれぞれ共演しました。これまで、地方の合唱団とは一緒に練習する機会がなく、ぶっつけ本番に近い状態でステージに臨みましたが、晴美先生ご夫妻が現地に出向いて指導して下さったこともあって、とてもこの日に初めて合わせたとは思えないハーモニーで客席を魅了することができました。共演した合唱団の方々も「素晴らしかった!」、「感激した!」、「気持ちが良かった!」と喜んで下さいました。

第二部後半のステージからは、「ひろせ合唱の会(仙台)」、「ソウルジャパンクラブ合唱団有志(韓国、日本)」、「Harmony'84 Japan有志(元カリフォルニア合唱団)」が加わり、国際色豊かな総勢200人の大合唱に客席が沸きました。東日本大震災で被災された方が多かった「ひろせ合唱の会」の皆さんは、それぞれの避難先から駆けつけて下さいました。また、「ソウルジャパンクラブ合唱団有志」の皆さんは、出演した22人のうち8人の方が、この日のために韓国から駆け付けて下さいました。ハルミオンと一緒にステージに立って≪Harumi's World≫を心に刻みたいという皆さんの一念に、心が熱くなる思いでした。

客席の興奮は、プログラムの最終曲『ひとつ』と『Cantare ~歌よ大地に響け~』の全員合唱で一気に高まりました。これまでのコンサートでは、この興奮の高まりの中で、この二曲を再びアンコール演奏してフィナーレを飾るのがパターンでした。お客様もそうなると想定されていたのではないかと思いますが、この日のフィナーレはそれとは異なり、サプライズの連続でした。客席が更なる大きな興奮に包まれたことは言うまでもありません。

【写真・左】200人の大合唱団をバックに「夢咲き島」のボーカルを務める晴美先生。

【写真・中央】演奏を終えてエイサーの代表と握手を交わす晴美先生。

【写真・右】客席側に向いて全員合唱「ひとつ」の指揮をする晴美先生。

【写真】 楽器が力強く鳴り響き、エイサーが乱舞したフィナーレの大合唱。

フィナーレのサプライズ第一弾は、三線、エイサー、指笛が鳴り響く中、晴美先生がステージに登場し、200人の合唱団をバックに、自ら『夢咲き島』のボーカルを務めたことでした。先生がコンサートでボーカルを務めるのは二度目ですが、今やこの作品の歌い手は、他に適任者がいないのではないかと思わせるような温かく心のこもったみごとな歌唱でした。客席からは賛辞の掛け声がいつまでも飛び交いました。続いてのサプライズは、ステージと客席のコラボレーションによる全員合唱『ひとつ』の指揮を晴美先生が務めたことでした。一人でも多くのお客様に参加していただこうと、先生は客席側に向いて指揮、見事にお客様の心をわしづかみにして合唱団とお客様とのコラボレーションを成功させました。今回ほど、客席中に歌声の輪が広がったことはありませんでした。そして、最後のサプライズは、この日が初演になる『Pray for the Earth ~願い~ 』の大合唱でした。この曲は、第二部の冒頭にインストゥールメンタルで演奏されたのですが、合唱曲として演奏するのはこのステージが初めてでした。すべての楽器が力強く鳴り響きエイサーが乱舞する中で、出演したすべての合唱団員が「生きとし生けるものが慈しみ合って、共に生きる時代が訪れますように」「生きとし生けるものが命輝かせ、喜び歌う時代が訪れますように」と繰り返し歌い上げる様は、客席には大震災で被災された方々への応援歌のように聴こえたのではないでしょうか。『東日本大震災チャリティーコンサート』を締め括るに相応しいフィナーレでした。

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