10月10日から13日までレコーディングを行った翌日、藤沢への移動中列車の中でもう一方のマスターリングの指示を出し、夕方からセッティング後リハーサルを行い、翌朝、藤沢のホテルで目を覚ますと、何と右側の耳が塞がって聞こえないのです。
「あれ?どうしたのだろう…」と思いながらも、いつも通り、サウンドチェックが行われ、オーケストラとPure Voicesのリハーサル、カントハルモニアが加わってリハーサルが終わりました。そして、本番が始まった途端、目の前のモニタースピーカーから返ってくる音が爆音に聞こえるのです!
目が飛び出るほどの大きな音にびっくり!右にはバイオリン、左にはビオラ、左後ろにはフルートをはじめとする管楽器群、更にその後ろには混声合唱団!マイクを通して喋る自分の声も割れたように大きく、その日はその理由もわからず爆音に耐えながら何とか最後まで笑顔でやり切りました。
「ステロイドですか!!」「そうです。ステロイドを投与しないで悪化した時に、あなたは~あの時やっておけばよかった~と後悔するタイプですか?」との問いかけに、音楽を生業としている私にとって耳は生命線!と意を決して「後悔すると思いますので、今出来る最善を尽くしたいと思います!」とお応えしました。突発性難聴は発症してから1週間が勝負、時間との闘いと言われてますので、もう、悩んでいる猶予はないのです。
しかしながら「え~!今日ですか!!今日はこれから仕事ですので、明日に出来ませんでしょうか!!」と医師に嘆願し、何とか異例の日曜入院を許可していただけました!レントゲンや血液検査を終えると14時を過ぎていましたが、ダッシュで走り、池袋芸術劇場のハルミオン練習に駆けつけました。団員の皆さんは、「あ!晴美先生!」と心配が入り交ざった表情で迎えてくださいました。直ぐにピアノの椅子に座り、心を込めて『父の言葉』のイントロを弾きました。しかし、耐え難い爆音に、ピアノのふたを閉めてほしいと頼みました。
少々聞こえなくてもよいのですが、自分の弾くピアノの音が割れ鐘のようにやかましく響くのは何とも辛い…。その日の指揮指導者の望月裕央先生は、突発性難聴の経験をお持ちでしたので、「晴美先生、明日の朝入院の準備もあるでしょうから、今日は無理をなさらずお帰りになった方が良いのではないですか。アカペラで練習しておきますから」とのお言葉に甘えさせていただき、皆さんに詫びながらその日は早々に帰宅しました。そして、早速、入院準備に取り掛かりました。
出産経験のない私にとって、生まれて初めての入院でした。入院というのは、こんなにも突然やってくるものなのか!しかも9日間も…。突然言い渡された「入院」にバタバタでした。翌朝、弟が車で病院まで送ってくれて、いつもCD販売を手伝ってくれているツボちゃん(坪田恵美子さん)が付き添ってくださいました。本当に、人のありがたさを噛みしめました。
病室には強力磁気治療器を持ち込み、浮腫みを少しでも促せるよう病院内を毎日歩きました。
多い時は6000歩、少なくても3000歩は、毎日歩き、階段の上り下りをしました。特に自分に課したことは、母を見送った病棟の5階まで、毎日階段を上り下りすることでした。逆にそのことが自分を奮い立たせてくれました。
毎日、病室の窓から空を眺め、いただいた身体を傷つけてしまったことを詫び、必ず良くなるよう最善を尽くして努力しますと誓いました。「面会は家族に限ります」という規制がある中で、遂に従姉妹となったツボちゃんは、毎日手作りのものを作って届けてくれました。少しでも楽になるようにと、私の足を毎日マッサージしてくれて、ありがたさが沁みました…。
病院から眺めた満月も、窓の隙間から入るすがすがしい風も、必ず上ってくる太陽も、雲の隙間から差し込む柔らかな日差しも、みんな涙が出るほどの恵みに感じました。夜中は、見回りの看護師さんが定期的に巡回し、朝は6時起床で点灯。7時50分には医師の巡回、8時には朝食。朝食後に聴覚検査、点滴、昼食、点滴2本、それが終わると点滴から解放されて、院内散歩が始まります。
しかしながら…退院時の聴覚検査では良くはなっていませんでした。
それでも決してへこまずに、早速、栃木県の藤沼医院に電話して、代替医療による治療の予約を入れました。宇都宮にホテルを取って通院することにしました。高圧酸素カプセル療法、臍帯血幹細胞点滴療法、メタトロン治療、アーク光線療法、テスラー、と一日がかりの治療です。翌週も、その翌週も…。そして家では毎晩診療室で弟がスーパーライザー赤外線レーザー治療と星状神経節ブロック治療を続けてくれました。
兎に角、11月19日の初台での本番と25日の出雲でのイベントは何としても果たさせていただかなくては!!と必死でした。ただ、いざという時のために、リハーサルを長年ハルミオンのピアノ伴奏をお願いしていた押野可奈ちゃんに、そして音声を伴う長時間の喋りが出来ないため、それぞれの曲の解説を佐々木理保子さんと中西由美子さんにお願いしました。
とはいえ、本番は、前のスピーカーから聞こえてくる返しの音、直ぐ両隣にオーケストラの弦の音、木管、金管の音、打楽器の音に果たして耐えられるのか、後ろから聞こえてくる合唱団のffに耳が耐えられるのだろうか…と、実際にその中に居てやってみなければわからないという言わば大きな賭けでした。
ただ、心のどこかで「出来る!」と確信している自分が居ました。
それは、母が亡くなる1年前のこと、私が後援会長黒田氏を失った消失間の中にいた時に、「ママはあなたをそんなに弱く生んだ覚えはない。あなたは3800グラムで生まれてきた。ママも頑張ったけれどあなたも頑張った、もっと強いはずだ!」と私を奮い立たせてくれた母の言葉、そして「たゆまぬ努力と祈りがあればどんなことでも必ず叶う!」と励ましてくれた父の言葉がいつも心の中で聞こえていたからでした。
初台でのコンサート開始前、司会者の説明で、私が突発性難聴になったため、両耳に耳栓をしての演奏になる事、音声を伴ったお話が出来ないためMC(曲目紹介)は代理の人が行うことが告げられました。それでも、拍手を受けてお客様の前に立つと、嬉しくて、ありがたくて、感謝の想いが込み上げてきました。
1曲目の『Into the Light ~光への旅立ち~』を弾き終わり、小声でも心を込めて、最初のご挨拶をさせていただきました。静かな会場に、あたたかな愛が立ち込めているように感じました。
『海よりも空よりも』『母に贈るうた』『父の言葉』1曲1曲、お客様がハンカチで目頭を押さえ涙を拭って聴いてくださいました。
『どこかで誰かが~全ての命と共に~』『八幡小学校校歌~今、思い出を輝きに変えて~』『ひとつ』『Cantare~歌よ大地に響け~』『祈り』『天と地の物語』『光のミチ』と終わりに行くほど会場は熱気に包まれ、最後にスタンバっていてくれた押野可奈ちゃんの伴奏で『ふるさと』をみんなで歌ったあと、再びピアノの椅子に戻ると「アンコール!アンコール!」の大きな手拍子が!
あたたかな声援を受けて、お礼のご挨拶をさせていただき、最後に会場の皆さんと一緒に、全世界の人々の幸せを祈って『ひとつ』を歌わせていただきました。
会場から返ってくる愛と感謝の波動のなんと熱い事…。両耳に耳栓をして弾くという前代未聞のスタイルでしたが、生涯忘れられない感動感謝のコンサートとなりました。
この日を迎えるまで、足しげく通い続けてくださった、坪田恵美子さん、中西由美子さんはじめ、心砕いて励ましてくださった諸先輩方、友人や会員の皆様、愛弟子達、そして家族に、心より感謝申し上げます。
そのお祝いの式典で、先生が作詞された『光のミチ』(高橋晴美作曲)と『契約の虹』(高橋裕作曲)をマーチングと合唱とピアノで奉祝演奏をさせていただきました。マーチングの音に果たして耐えられるか、到着まではいささかの不安はありましたが、本番は、弾かせていただけることがありがたくて嬉しくて、耳栓をしてはおりましたが、淞南学園の生徒さんたちと共に精一杯心を込めて弾かせていただきました。
今回の出雲では、理事長様はじめ北村校長先生皆々様に大変お世話になりましたが、とりわけ、手島先生には『ひとつ』のキーワードを通して、大変大きなメッセージをいただく事となりました。
一度目は第7回岡崎功賞式典のスピーチの中で「高橋晴美先生のお作りなった『ひとつ』という曲があるのですが、先生歌っていただけますか!」と、いきなり最前列に座っていた私に向かって、壇上からにこやかにおっしゃったのです!突然のお言葉に目を見開いておりますと、「まあ、直ぐにというわけにはいきませんでしょうから、後で歌っていただきましょう」と、又お話は続きました。
その後、レセプションの始まる前、控室に案内されたところ、何と手島先生のお隣のお席に!緊張の面持ちで手島先生の左隣に座らせていただいたところ、先生が再度「今日はひとつを歌われるのですか?」とおっしゃったのです!
そしてレセプションが始まり、オープニングで夫は着物を来て、お祝いに『まほらまの君』(高橋裕作曲)の舞い謡いを披露させていただいたのですが、レセプションの最後のお言葉で、またもや「先ほども申し上げましたが、晴美先生に『ひとつ』を歌っていただけますか、と聞きましたら、今日は歌えませんので、代わりに主人が歌いますと言われまして、先ほどご主人が歌ってくださいましたけど、あれは不思議な謡でしたねえ」で、一同大爆笑!!
皆さんこのお言葉で抑えていたお気持ちが一気にはじけたようでした。(笑)
このように、三度も口にされた「『ひとつ』を歌っていただけませんでしょうか」に、何か深いメッセージを感じた私は、早速、コーラスハルミオンに継走を回し、翌日のけやきホールでのハルミオン練習最後に、皆さんと共に歌わせていただく事にいたしました。
前夜の晩餐会でも、話題は戦争の話になりました。「我々はみんな宇宙の子であり、神の子であり、同じ同胞であるのに、なんで土地を奪い合って争うのでしょうね…元一つなのにね」と。
私は、その後も三度に亘って耳にした「『ひとつ』を歌っていただけませんか」を何度もリピートして自分に問いかけ続けました。何か大事なメッセージがある!と感じて。
『命』は『時間』でもあります。刻々と過ぎゆく時を大切に使うということは、負の思考に振り回されるのではなく、明るく高い『愛』の次元で生き切ることだとあらためて思いました。
そして、その後の病院の聴覚検査の結果、医師より「前回よりかなり良くなっています。もう薬は飲む必要ありません。1か月後にもう一度来てください」と言われました。まだ両耳の耳鳴りはしていますが、耳栓をしないでお話が出来るようになったことがまずもってありがたい事です!
皆さま、こんにちは。私は『コーラスハルミオン』で望月先生と一緒に指揮をさせて戴いている小野瀨照夫と申します。地元の埼玉県では合唱連盟の理事長という立場で頑張っております。このたび、埼玉県で晴美先生にお世話になったことを3つお知らせいたします。
●先ずは県の連盟で作成した合唱曲集「彩りのうたⅡ」です。埼玉県では平成の時代に合唱曲集「彩りのうた」を作り約6000人の人が愛用していましたが、令和3年頃になって2巻目を作ろうということになりました。作成にあたり、県の連盟理事によるプロジェクトチームを編成し選曲から取り組みましたところ、理事の中から「髙橋晴美さんの『母に贈るうた』を載せて欲しい。」という希望が出ました。私が思わず「知ってたの?この曲」と言ったところ、「うちの生徒たちはこの曲が好きで」とのこと。
実はこの頃、県の連盟はコロナ禍の影響で財政が逼迫しており、そもそもこのプロジェクトは財政的救済の目的でもあったのです。「問題は著作権や使用料だ」ということになりましたが、私が晴美先生に楽譜原稿のご提供をできるだけ安価にお願いすることになりました。早速連絡したところ、晴美先生から「そういうことでしたら、どうぞお使いください。多くの方に歌っていただき、愛を届けていただけたら嬉しいので…」ということで、無料で提供戴きました。「今回はお言葉に甘えさせて戴きます。」ということで『母に贈るうた』を含めた20曲入りの合唱曲集ができ、現在は約2000人の人が愛用しております。
●2つ目は、私が地元で指導している 『mellowコール 』という女声合唱団のことです。全日本合唱連盟主催の「おかあさんコーラス大会」に出場する際、「彩りのうたⅡ」にある『母に贈るうた』を歌いたいという要望が団から出て、令和5年3月の県大会に出場したところ関東大会への代表の1つに選ばれました。「これで関東9県の人たちにこの曲を聴いて貰える!」と嬉しい想いで千葉県市川市での関東大会に出場いたしました。本番前では、練習で言い続けていた「この曲は悲しい歌ではなくて『感謝』の歌であることを忘れずに歌いましょう!」と想いを新たに歌ったところ、なんと90団体の中から僅か13団体の全国大会への推薦団体にも入れたのです!今度は「全国の人たちに聴いて貰える!」ということで、姫路市のホールで8月に歌って参りました。
当日、講師席の近くにいた方には、講師の一人が「涙が出そうだった」と言っておられたのが聞こえたそうです。指揮をしていた私にも他の団の方々から「心に染み入りました。良かったです。」と言って戴きました。
●3つ目は、やはり県の連盟の事業です。11月に第1回の「シニアコーラス大会」(24団体出演)を開催するのですが、そこに「プラチナ合唱団」という団名で臨時に集めた合唱団も出場します。2曲のうち1曲は私が指揮をして『母に贈るうた』を歌うと募集したら、約100人の応募がありました。現在は練習中ですが、ベテラン100人による女声合唱での演奏はとても楽しく、深みのあるものとなってきました。本番が楽しみです!
以上3つのお知らせですが、どれも『母に贈るうた』に関係したものとなりました。
晴美先生、あらためて、素敵な曲をありがとうございます!!
●アルト 長峰美喜子よりご挨拶
3月の埼玉県大会に始まり、7月には千葉県の関東大会で優秀賞を頂きました。更に8月の姫路で行われた全国大会まで行かせていただき、皆様に晴美先生の感動を与える曲を聴いていただくことが出来ました。歌い続けて10か月ほど、ただひたすら聴いてくださる方に届くよう心を込め、母への感謝の気持ちをもって歌わせていただきました。これも、小野瀬先生の温かく丁寧なご指導と、晴美先生の愛に溢れた曲とメッセージが皆さまに伝わったのだと確信しております。
その後、10月の川越市の合唱祭では『ひとつ』を平和への祈りを込めて歌わせていただきました。次第に、もっと先生の曲を聴きたい、歌いたいという気持ちが強くなり、コーラスハルミオンに入団させていただきました。
先生の素敵なピアノ伴奏で歌える幸せと、今、自分が元気で歌える事に感謝しながら、ステップアップ出来ればと思っております。今後共ご指導のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
●コーラスハルミオン ソプラノパートリーダー 佐々木理保子よりご挨拶
一音一音を愛おしむように大切に紡がれる晴美先生のピアノの音色に酔いしれながら、この年に歌った曲を振り返り、皆さんと伸び伸び楽しく歌うことができたことに幸せを感じるひと時でした。 素晴らしい時間を与えていただいたことに感謝申し上げます。
毎年2月は後援会の更新月にあたりますので、お手数おかけいたしますが、更新手続きをお願いいたします。
又、新規入会の方も宜しく御願い申し上げます。
・PCメールでのニュースご案内をご希望の方 | :年会費2,000円 |
・郵送でのニュースご案内をご希望の方 | :年会費3,000円 |
窓口からお振込みの場合 | |
・振込先 | :ゆうちょ銀行 |
・口座名 | :高橋晴美の音楽ネットワーク |
・口座番号 | :00180-1-446596 |
ゆうちょ銀行のATMからお振込みの場合 | |
・振込先 | :ゆうちょ銀行 ○一九(019)支店 |
・口座名 | :高橋晴美の音楽ネットワーク |
・口座番号 | :446596 |
・預金種別 | :当座預金 |
他の金融機関のATMからお振込みの場合 | |
・振込先 | :ゆうちょ銀行 ○一九(019)支店 |
・口座名 | :高橋晴美の音楽ネットワーク |
・口座番号 | :0446596 |
・預金種別 | :当座預金 |