高橋晴美の音楽ネットワーク ニュース レター  


虫の音に、秋の深まりを感じる今日この頃ですが、皆様お元気でいらっしゃいますか。

名古屋の南山大学で行われた聖歌隊スコラ・カントールムによる「祝福のうた」のマスタリングが終わり、お陰様で10月20日に無事リリースとなりました。本当に長い道のりでした。

前号でもご紹介させていただきましたが、「祝福のうた」は、2000年にポーランドでワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団と録音したオーケストラに、 2013年にオペラ歌手森美代子さん(2011年の杉並公会堂大ホールで「天と地の物語」を歌い絶賛された)に歌っていただいてエンジニア黒田勝也さんに レコーディングしていただきましたが、そのままリリースをせずに寝かせておりました。

 あれから3年近く経とうとしていた昨年12月、黒田勝也さんが急逝し、今年に入って黒田さんの最後のスタジオワークとなった「祝福のうた」を遂に世に出 そうと思い始めた矢先、時を同じくしてフェースブックで聖歌隊南山大学スコラ・カントールムの歌う「祝福のうた」を聴く事となったのです。数年前、西脇神 父様から「祝福のうた」の混声合唱譜のお申し込みをいただき、30冊の合唱譜にホッチキス止めをしながらパイプオルガンをバックに歌う聖歌隊の演奏姿を思 い浮かべ、「是非一度聴いてみたい!」と切実に思ったものでした。ところが今年の3月、思いもかけずあの時に切望した音を耳にする事となった私は、聖歌隊 の歌う「祝福のうた」をボーナストラックとして入れることを思い立ちました。〜これで、私が表現したかった「祝福のうた」が完結される〜そう思った私は、 早速名古屋の西脇神父様にメールをさせていただき、神父様と感動的なお電話での再会を果たしました。そして、8月10日に南山教会でのレコーディングが実 現したのです。

レコーディングは、1996年に初めて「ひとつ」のレコーディングを行った時からお世話になっている爽美録音さんにお願いしました。爽美録音の山本社長さ んは、これまでリリースした私のCD、DVD全てをプレスしてくださり、ネットワーク発足当時から会員になって支援してくださっている方ですが、今回の CD作成は特に黒田さんへのオマージュということもあり、最後まで誠心誠意で取り組んでくださいました。
 真夏の昼間の教会での録音は、聴いてみると丁度良いところで、カラスが鳴いたり、外の壁をたたく音が入ったり、蝉の鳴き声が聞こえたりとなかなかスタジ オのようにはまいりません。エンジニアの窪田さんには随分とご無理をお願い致しました。しかし、名古屋の南山大学聖歌隊の声は真っ直ぐに透き通っていて、 目を閉じて聴いているとあの素朴な学生さん達の姿が浮かんできます。みんな、大切な誰かを亡くした痛みを知っているからこそ温かい気持ちで「優しさ」「慈 しみ」「敬い」を表現出来るのだとあらためて思いました。生の音に勝るものはありませんが、少しでもお伝えする事が出来れば幸せです。そしてそれに加え て、皆様にもお馴染のデザイナー安達義寛さんに再三再四やり直しをお願して出来上がってきた素晴らしいデザインのジャケット!きっと、黒田さんも喜んで下 さるのではないかと思っております。このCD制作に携わってくださいました全ての方々にあらためて心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。



〜歳を重ねる程に、人の命の尊さをしみじみと思う…。

一人の人間が、この世に生を受けこの世での役割を精一杯に果たし、やがてその命を終える瞬間ほど厳粛な時はないのではないだろうか。縁あって、人と人はこの 世で出会い、そして、必ずいつか別れの時が訪れる。その最期の時に、逝く人を心から敬い、感謝し、お見送りする歌として、長い時をかけてこのCDを作成い たしました。
 2000年にワルシャワで録音したポーランドワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の壮麗な響きが、16年の歳月を経てソプラノ森美代子の心に迫る歌 で蘇ります。今旅立ってゆくこよなく大切な人へ、限りなく優しく、限りなく温かく、限りない感謝を込めてこのうたを贈ります。〜

                                2016年10月吉日
                                     高橋晴美


 私は、高橋晴美先生の高貴な人格と美しい愛の調べに心洗われて明日への活力と希望で胸を膨らませております。それ故に高橋晴美の音楽ネットワーク後援会の副会長を引き受けることにしました。
ただ譜面を見てもオタマジャクシのことしか思い浮かばないほどの音楽音痴に果たして副会長が務まるかどうか疑問に思っています。
余談になりますが昔々学生の頃、音楽喫茶に入り浸っていた私に親しい学友から「藤原君はそれほど音楽が好きなら音大に行くべきだった」と揶揄されたことがありました。
恥ずかしながら私は「1812年」をチャイコフスキーの誕生日と思い違いをしていたくらいだから音大に受かるはずはありません。私が音楽喫茶に通いつめたの も音楽を聴くのが目的ではなく、たまたま図書館より近くに音楽喫茶があって読書や書き物をするのに格好の場所であったからなのです。
 社会人になってからは、仕事の関係で著名な音楽家等のコンサートに招待される機会が増えましたが唯一の楽しみは指揮者のタクトを振る姿を見る事でした。それにしてもオーケストラの演奏に居眠りしたことには流石の私も罪悪感にかられました。
 ところが高橋晴美先生のコンサートでは最初から最後まで興奮が冷めやらず、その素晴らしさに拍手を送り続けました。また人目も憚からず涙を流した自分自身に驚きました。
 この素晴らしい感動を多くの人々にも是が非でも与えたいとの熱い思いから私の故里である宮古島でもコンサートを開くことを高橋晴美先生に懇願し実現することが出来ました。
 宮古島の人々に大きな感動と夢と希望を与えてくださった高橋晴美先生に心底から感謝しております。私が副会長を引き受けた所以でもあります。もっとも音楽音痴の私が副会長になることが疑問であることは既に述べたとおりです。
 幸い新しい会長には高橋晴美先生の最も尊敬する著名な音楽家であり教育者である人格者の池田誠晴先生が就任されました。前会長の黒田勝也さんも天国で安堵されているものと思います。
私は池田誠晴会長にご迷惑をおかけしないように心がけたいと思っています。ところで今回の私への寄稿依頼は副会長としてのメッセージをのべることでした。しかし、私は敢えて前会長の黒田勝也さんへ次の哀悼の一言を捧げる事にしました。

「黒田さん!聞こえますか。何故あなたは何も云わずに天国へ行ってしまったのですか。
晴美先生が嘆き悲しむことを何処の誰よりも分かっていたはずではないか。裕先生とも一緒に沖縄で美味しい古酒を汲み交わそうと言ったのは黒田さんではな かったのか。また晴美先生のために沖縄で常設の「高橋晴美ホール」を作ろうと私と約束したことはどうするのか。話したいことは山程あるがどうにもならな い。悔しくて、悲しくてやりきれないが耐えるしかない。そして最後に最も辛い“安らかに眠ってほしい”の言葉を云わざるを得ないことは無念の極みだ」

 もっと丁寧な言葉で哀悼の誠を捧げなければならないことは承知していますが敢えて文句を述べました。
 私ごとで非礼を省みずお話ししますが、私の妻は昨年の10月3日にこの世を去りました。妻の入院中の8月頃、黒田さんから電話があって「藤原先生お元気 ですか、くれぐれも体には気を付けて頑張ってください」との励ましの言葉をいただきました。その黒田さんが私の妻の亡くなった2か月後に死去されたとの報 せを受け茫然自失というか気が動転してしまいました。いかに諸行無常とはいえ悪夢をみているようで未だに現実を受け入れることが出来ません。
 黒田勝也という人は稀にみるお人好しで、何事にも誠実に対応されました。また誰方に対しても心優しい思いやりがありました。特に高橋ご夫妻のことは心底から愛しておりました。 将来、
高橋晴美先生のために沖縄常設の「高橋晴美ホール」を作ることを夢見て私と二人で秘密裏に検討しておりました。晴美先生には内緒にして驚かす魂胆でもあり ました。そのような茶目っ気なところもあって似たもの同士で意気投合しておりました。相棒の黒田勝也さんのいない今、私は晴美先生のために何が出来るかを 考えてみたいと思っています。
親愛なる黒田勝也さんのためにも・・・・
                         沖縄県宜野湾市国際リゾート研究所会長
                                      藤原浩男


  去る10月2日私の母校であります四ッ谷雙葉学園に於いて、運動会が行われました。その中で、小学校2年生がダンスで「夢飛行」を踊ってくださいました。 私は、丁度出張と重なってしまったため、その前の体育の授業にお邪魔して河野久仁子校長様とシスター渡部とご一緒に子供達の練習風景を見させていただきま した。母校を訪れたのは、平成15年7月5日に雙葉学園講堂で開催された高橋晴美講演コンサート〜私の音楽を育てた父と母と母校〜以来、13年振りの事で した。既に、私がお世話になった懐かしい先生方はいらっしゃらず代は替っておりましたが、母校の学び舎は昔の面影を残しており、一歩足を踏み入れた途端懐 かしさで胸がいっぱいになりました。
 体育の塚本治子先生のご指導に従って一生懸命に踊る子供たちが可愛くて、その姿を目の裏に焼きつけながら、この子達がどうぞ幸せに育ってゆきますようにと祈らずにはいられませんでした。
 私の雙葉高校時代の同級生であり、発足当時から会員となって応援し続けてくださっているシスター渡部は、私を送ってくださる道すがら「晴美さんの曲がこういう形で子供達に伝わってゆくのが夢でした」としみじみとおっしゃいました。
 〜空の果てまで飛んで行こうよ! 愛を乗せた船に乗って 二人で育てて来た夢を皆にも分けてあげよう あなたと私のハートを君にも君にも君にも分けてあ げよう!果てしなく広がる世界に虹色の夢を届けよう あなたと私のハートを君にも君にも君にも分けてあげよう〜(夢飛行より)
 大好きな母校の後輩たちに、又ひとつ愛の種を蒔かせて頂くことが出来た事、関わらせていただけた事に感謝しながら温かい感動を胸に帰宅いたしました。河野久仁子校長様始め、シスター渡部、そして、素敵な振り付けをしてくださった塚本治子先生に心より感謝申し上げます。


                                     

東京都出身。東京音楽大学音楽学部声楽演奏家コース卒業。同大学院修了。平成18年度文化庁新進芸術家国内研修員。
日生劇場オペラ「利口な女狐の物語」タイトルロールにてオペラデビュー後、様々なオペラに主役級で出演。コンサートではモーツァルト「戴冠式ミサ」やベー トーヴェン「第九」等ソリストとして活躍。また、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団等、国内主要オーケストラとの共演も多数。
第16回奏楽堂日本歌曲コンクール歌唱部門第2位。第17回日本声楽コンクール第1位(併せて奥田良三賞、東京都知事賞、JTB賞も受賞)。第5回東京音 楽コンクール声楽部門第2位(最高位)併せて聴衆賞を受賞。2011年5月に杉並公会堂大ホールで行われた「高橋晴美愛と癒しの世界〜東日本大震災チャリ ティーコンサートに出演し大好評を博した。

                


2000 年にポーランドに於いて、ポーランドワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団と共にレコーディングしたオーケストラに、2013年にソプラノ森美代子さん の心に迫る歌入れをし、実質的に黒田勝也氏の最後のスタジオワークとなった「祝福のうた」のCDが16年の時を経て遂に完成いたしました。
CD、楽譜ご希望の方は、必要事項をお書き添えの上お申し込み下さいませ。 CD ¥1,543(8%税込価格)楽譜 ¥823(8%税込価格)となっております。
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