ポーランドでのレコーディング紀行A

4月2日=================

 朝4時半に目が覚める。そろそろ疲れが出る頃か、とても眠い。
今日はフィルハーモニアでの練習日。10時過ぎに天野さんが迎えに来る。歩いて10分位の所にフィルハーモニアがある。国立管弦楽団と書かれた古い建物が目に入ったとたん、感動で胸が熱くなった。その古い建物はヨーロッパの伝統を感じさせる。

 中に入ると黒い御影石の階段。壁には、いくつもの年代の入ったポスターが貼られていて、ワルシャワフィルハーモニーの長い歴史を物語っている。

(リハーサル室で
真理ちゃんと晴美さん)

 天野さんは部屋の鍵を開けてもらい、特別に用意されたリハーサル室に私達を案内してくれた。ベルベットの深紅のカーテンにおおわれた部屋に、スタインウェイのフルコンがおかれていた。なんという贅沢! 私は早速ピアノの椅子に座り弾き始める。真理ちゃんはウォーミング・アップの体操と発声を始める。天野さんはその間に、近くのケンタッキーにカプチーノとヘルバータ(紅茶)を買いに行ってくれる。

 昨日同様に、レッスンを始めるが、笑いが絶えない。"祝福のうた“をレッスンしている時である。とこしえの”と“の発声について、”遠くに向って発する“という話になった時、突然、天野さんが「ホールを見に行こうか。」と言った。私達二人は、「行こう、行こう!」とすぐに部屋のドアを開けて、外に出た。その瞬間、「真理子先生!」と呼ぶ真理ちゃんの声。ちょうど目の前の階段を降りてゆく二人の男女のうち、真理子先生と呼ばれた女性が振り返った。「あれ??」と思って右を見ると、なんとそこにいるのは、清水雅彦先生!! オリジナル合唱団の合唱指揮をしてくださった清水先生なのだ。「えー!!」びっくり仰天。目がでんぐり返った。走り寄って握手をし、しばし、「なんで? なんで!?」と目を合わせて、次の言葉が出てこない。

 4月2日今夜このホールで、3人の清水先生による合唱コンサートがあるというのだ。真理子先生とは、清水先生の奥様で素晴らしいピアニストで、いつも清水先生の合唱の伴奏をなさっている。それにしてもあまりのタイミングに本当にびっくりした。

 翌日から始まるレコーディングの為、本番は聴くことが出来なかったが、リハーサルを満喫した。異国の地で聴く日本の童謡のなんと美しいこと、“夕やけこやけ”には胸がつまった。
 その日は、疲れもあったので、早めに夕食を3人でとって、ホテルに戻った。

4月3日=================

 5時に目が覚める。早く目が覚めたので、たまっていた日記を書くことにする。
 7時にカーテンを開けると、一面の青空。今日はレコーディング゙初日だ。
夕方5時15分に、フィルハーモニアに着く。エンジニアに挨拶し、スコアを渡す。

 6時より、バランスを見ながら音出しが始まる。一曲目は“星降る夜に”だ。ホールに響き渡るイントロの弦の音を聴いた時、この曲をレコーディングに加えて良かったとしみじみと思った。テンポの問題、楽器のバランスなど、注文を出しながら、歌入りバージョンをとり、カラオケをとる。

(ワルシャワフィル・オーケストラ)


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