高橋晴美の音楽ネットワーク ニュースレター              


 暑さが日増しに強まってまいりましたが、皆様お元気でいらっしゃいますか。早いものでCDリリースから1ヶ月が経とうとしております。つたない歌をお聴きくださり、たくさんの心温まるお便りをいただき、本当にありがとうございました。作品の原点を記録に残す事が出来ました事を、しみじみありがたく幸せに思っております。一年間に亘るレコーディングにとことんお付き合いくださった黒田さんのご尽力は、一方ならぬものがございました。この出会いがなければ、おそらく私は歌のCDを出す事は考えなかったのではないかと思います。エンジニアーで後援会長の黒田さんに、あらためて感謝申し上げたいと思います。

 

  高橋晴美 & 黒田勝也の ミニ対談

晴美:長いレコーディングにお付き合いくださいまして本当にありがとうございました。

黒田: いやー楽しかったですね!今回の「高橋晴美 愛をうたう」のCD発売、本当におめでとうございました。長かっただけに、本物のCDを手にした時の感動はちょっと言葉で言えないものがありました。聴いていて不覚にも涙が出て来てしまいましたよ。晴美さん、本当によく歌ってくれましたね・・・。そもそも歌をレコーディングしようと思ったきっかけは?

晴美: 今までは、その作品に合う歌い手さんを捜してレコーディングをお願いしてきました。自分は生み出す時には部屋で歌いながら作曲するのですが、歌手として歌うことはかたくなに拒み続けてきました。それは、伴奏者がいないということもありましが、私自身が声楽の専門家ではないから自分の歌唱に満足出来ないという事が最大の理由でした。しかし、歌い手さんにとって私の作品は、あくまでもご自身の人生に置き換えられた、その方のフィルターを通した歌なのです。自分の子供でもある曲達を、自分で歌って記録に残す事は、ある意味作品の生みの親としての責任ではないかな…と、この年になって初めて思ったのです。作品の原点である『愛』を歌いたいと。それでもアルバムを制作するのは一大決心でしたね。

黒田:なるほど・・・。よく晴美さんの曲には愛があると言われますね。僕は今回の歌にもとっても愛があると思うのですが、この間も晴美さんの歌を聴いた方が「母の子守り歌みたいに癒される」とおっしゃっていましたけど、実にあったかいですよね。

晴美: ありがとうございます。実はある時、歌の原点は「愛」であり、それは「母の子守唄」なのではないかと気づかされた事があったのです。それはある家族のドキュメンタリー番組を見ていた時でした。リハビリを常にしなくては生きて行けない脳障害を持つ子供に、お母さんが毎日リハビリをするのですが、痛さに泣く子の痛みを少しでも和らげようと子守唄を歌いながら行っていたのです。じ〜んときましたね・・・。これこそが歌の原点だと思ったのです。それを見ていて、自分の愛する人への思いと重なって生まれた曲が「星降る夜に君を想い 君だけのために歌を歌おう 傷ついて疲れた君の心を ささやかなこの歌で包んであげたい」とうたう「星降る夜に」だったのです。だから、いつも歌の指導する時に、「自分自身が愛の塊になって!」と言ってしまうのです。

黒田: そんな事があったのですか。それで愛があると言われるのですね。ところで発売後皆さんの反応や何か変わったところは有りますか?

晴美: 皆様がどう受け止めてくれるか、正直言って大変不安だったのですが、ふたを開けてみて何よりも嬉しかったのは、生徒さんの歌が変わった事でした。皆さん口々に「先生がおっしゃりたかった事が初めて解りました!」と言って来られました。100の説明より、実際に歌を聴いていただいた方がずっと早かったというわけです。それだけでもCDにして良かった・・・と報われた思いがしました。

黒田: それは良かったですね。兎も角、今回のレコーディングで晴美さんが一番重要視していたところですからね。CDを聴いて歌い方を学んでくれるのは嬉しいですね。

晴美: 生徒さんに、「私の作品は声を張り上げて歌おうと思わないで、ひとつひとつの言葉を大切にして相手の心に伝えると思ってください」とずーっと言い続けてきました。とかく声楽科出身の方は、声が出る分どうしても声に頼り歌い上げてしまいがちですが、オペラアリアではないので、日本語本来の持つ「美しい言霊」をいかにして伝えるかということに留意してほしいのです。それは理屈ではなく、「想い」の深さだと思います。

黒田: いくら綺麗な声であっても感情が伝わってこない歌はつまらないですね。その点今回のCDは伝えたいことがとっても良く伝わってきて何回もジーンときましたよ。例えば「ありがとう」の必要なところ以外はノンビブラートで行くところや、言葉の絶妙なタイミングなど素晴らしいですね。なかなか出来そうで出来ないですよ。

晴美: 私は発声も出来ていませんし、歌の専門家の方がお聴きになられたら眉をしかめられるのではないかと思うのですが、逆にそうであるからこそ伝えられるものもあるような気がするのです。ライトのあたるステージで歌う歌にも感動しますが、たった一人の人のために歌う歌にも深い感動を覚えます。例えば、言語を失っていた老人の枕元で「ひとつ」を何回も歌っていたら、ある日突然その老人が「ひとつ」を一緒に歌いだしたという奇跡を体験された方がいました。又寝たきりの、今は亡き父の枕元で毎晩歌う母の歌は、娘の私が聴いていて胸がつまりました。これは言葉で説明の出来ない慈愛に溢れているのです。私にとって『 歌 』は『 愛 』そのものなのかもしれません。

黒田: すごい話ですね・・・。ところで次の歌のCDの企画はあるんですか?

晴美: いやー!何という事をおっしゃるのですか!でも・・・父のために毎晩歌い続けた母のために、いつか、いつの日か、感謝を込めて「母に贈るうた」は贈りたいですね・・・。そして、亡き父に「父の手」を愛と感謝を込めて歌いたいですね・・・。 歌は愛そのものですから、次なる夢を掲げて自分自身を磨いてゆきたいです。 その時は、これに懲りずに是非又エンドレスレコーディングにお付き合いください!

黒田: はい、今から体力をつけて頑張ります!(笑)


 7月31日(火)、1年ぶりに「 Harumi's World 」のライブを行います。 場所は以前にも何回か行いました皆様おなじみの銀座「月夜の子猫」です。 出演は、リリーこと遠藤いつ子さん、そして期待の新人、古野 綾さんの、美声美人デュオです。遠藤さんは三島で高橋晴美作品を広めてくださっている、透き通るような声の持ち主で、又、古野さんは二期会卒のオペラを歌う若手歌手でありながら、ポップスの感覚抜群という期待の新人です。バックは久しぶりに高橋晴美トリオでお送りいたします。コンサートでは味わえない、息遣いが伝わってくるライブをお楽しみいただければと思います。尚、座席数(30)と限りがございますので、先着順の予約制とさせていただきます。7:30〜8:30 9:00〜10:00の2回ステージで、入れ替えはございません。チャージ等込みでドリンク、おつまみ付きで、¥5,250円です。Mail又は、電話、FAXでお申し込みくださいませ。定員になり次第打ち切らせていただきます。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。


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2007年6月吉日 高橋晴美
                             
    

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