お正月気分が抜けきらない1月11日(土)に船橋勤労市民センターホールにおいて、
高橋晴美さん自らの伴奏で大塚由乙さんのコンサートが行われました。
このコンサートはクラシック専門に歌われてきた声楽家の大塚さんが、ノーマイクで高橋晴美さんの18曲全てを暗譜で歌うというものでした。実はこれは大変なことなのです。今までにもクラシックの歌い手さんが晴美さんの曲を歌ったことは多々ありました。しかし、ノーマイクとなるとクラシック的な限られた曲目しか歌われていません。
皆さんご存知のように晴美さんの曲はオペラのように歌い上げたらおしまいなのです。それだけに大変難しい。大塚さんはこの難題に挑戦され見事やり遂げられました。「クリスタルラブ」や「想い」そして「春の嵐」はクラシックの方が歌うのははじめてでとても新鮮でした。プログラムを通して感じたことは、大塚さんの優れた発声法と晴美さんの曲に対する深い理解が聴衆の心を捉えていたということです。
アンコールで歌われた「母に贈るうた」と「窓をあけてみたら」はよく歌いこまれており、表情豊かに楽しそうに歌っていたのが印象的でした。
以下に、当日のプログラムの一部を紹介します。晴美さんの曲に対する大塚さんの心の一端をお伝えできれば幸いです。
[ごあいさつから]
あけましておめでとうございます。晴れ晴れしいお年をお迎えのことと存じます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。皆様にとりまして、本年も幸多き年でありますよう心よりお祈り申し上げます。
本日は年始めのお忙しい中、お運びいただきましてありがとうございます。一昨年の夏ご好評いただきました「高橋晴美の世界」コンサートを、本日再び皆様にお届けできることを大変嬉しく思います。
１回目のコンサート後、多くの皆様方から反響をいただき、録音したＣＤもたくさんのファンの方の間で楽しんでいただいているようです。一度聴くと何故か惹かれてしまう魅力が詰まった彼女の世界・・・今回はどんな世界をご紹介できますでしょうか？
作曲家「高橋晴美」に出逢って私の中で“音楽”の価値がずいぶん変化してきました。高校２年生から、長い長い歌の道を歩いてきました。クラシックの声楽の道で学んできたこと、感じてきたこと、その結果私が到達した発声の技術、歌をうたう心、磨いてきた感性・・・確かに間違ってはいなかった。しかし「高橋晴美の世界」を歌うには、まだ何か足りないものがあったのです。私たちが心動かされたり、いつも感じているのに気づかないようなことにまで、ぴったりの言葉をあてはめ、そして流れるメロディーが自然にあふれた歌の数々。これらの歌を歌うとき、あらためて人の心の素朴さや素直さに気づき、それを伝えるためにはどう表現したらよいのか・・・クラシックの世界だけでは見えなかった何か・・・彼女のところにレッスンに通うたびにたくさんの勉強をさせていただきました。
美しい語りかけの音楽にはいろいろなドラマがあります。歌は人生そのものです。その時々の心の動きが手に取るように描かれている作品は、皆様の心に多くのことをお伝えすることと思います。舞台の上で様々な登場人物に変身します。少しでも彼女の世界を表情豊かにお届けできれば良いのですが・・・
皆様の心にたくさんの幸せをお届けできることを心より祈っています
最後までごゆっくりお楽しみ下さいませ。 大塚由乙
[プログラム]
第1部
１．Crystal
Love ２．想い ３．二人を乗せて ４．春の嵐 ５．夢物語
６．海よりも空よりも ７．少年 ８．あした（Sure
Tomorrow）
第2部
９．めぐりあい １０．ラバース・ベルスーズ（愛する人に贈るうた）
１１．Pure
Life １２．Into the Light（光への旅立ち）
１３．星降る夜に（Starry Night） １４．雪原にて １５．雪どけに（今 命輝く時）
１６．My Eternal Love（人間讃歌）アンコ−ル：母に贈るうた 窓をあけてみたら
[大塚由乙さんのプロフィール]
東京芸術大学音楽学部声楽科を主席で卒業後、同大学院音楽研究科声楽ソロ専攻課程を修了。伊藤亘行、秋山衛の各氏に師事。第３０回毎日学生コンクール東日本第１位受賞。また東京芸術大学音楽学部による第３０回〈メサイヤ〉音楽会においてソロを務める。同声会卒業演奏会、並びに第５１回読売新人演奏会に出演。
その後、コンサート・ソプラノとしての活動を主軸に数々の音楽会に出演するほか、多くの宗教作品のソリストをも務めて実績をあげ、高い評価を得ている。オペラ分野においてもきわめて意欲的な活動ぶりを示し、非常に幅広くかつ精力的に活躍し続けて現在に至る。プロ歌手としての実力の高さはもとより、人柄の温かさと明るさ、旺盛なチャレンジ精神には、各方面からの人望と信頼が寄せられている。
